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商品情報

交配用みつばちについて

昆虫約65万種の内、ミツバチは9種類。その中で西洋ミツバチ、東洋ミツバチ、サバミツバチの3種は閉鎖空間営巣種と呼ばれ、巣箱の中に巣を作り、生活することができます。
年中巣箱の中を34℃に保っていて、まるで人間の生活のように最も進化した昆虫です。
一匹の女王蜂を中心に、数千匹から数万匹の群れで生活する社会性昆虫です。産卵のみが仕事の女王蜂の他には、花を訪れ蜜や花粉を集める子育てが専門の働き蜂と、交尾のみを仕事にする雄蜂がいます。いずれも一匹の女王蜂の子供です。

1. 個人より家族(群)を大切にします(社会性昆虫)

ミツバチは社会性昆虫と呼ばれています。それぞれ役割があり、群として生活を維持しています。ですから外敵が現れたとき、個ではなく群を守ろうとします。

2. 3種類のミツバチで構成されています。(女王蜂・働き蜂・雄蜂)

  女王 雄蜂 働き蜂
性別 メス オス メス
羽化日数 16日 23日 21日
群内個数 1匹 少数 大多数
仕事 統制・産卵
(一日に2000~2500)
交尾のみ 清掃・育児・門番・
採蜜・etc
寿命 3~5年 2~3ヶ月 約40日
働き蜂について

一群のほとんどは働き蜂です。働き蜂は実は全てメスバチです。
成虫になって約40日の一生を送ります。
その40日の中で働き蜂は
1.内勤蜂 → 2.門番蜂 → 3.外勤蜂
と成長していきます。

1.内勤蜂
成虫になって20日ほどは 巣の中で24時間体制で働きます。一日6~8時間 交代制で働くことが確認されています。巣の掃除、女王やオス蜂の食事の世話、子育て等、巣の全てを行います。
2.門番蜂
内勤蜂から外勤蜂に成長する過程の役割です。外敵から家族を守る、名前の通りの門番です。攻撃的で、最も良く刺します。ただミツバチは一度刺すと死んでしまうので、身を賭して家族を守る勇気と家族愛に満ちたハチとも言えそうです。
3.外勤蜂
一般に言う働き蜂。外を元気よく飛び回る、最も知られているミツバチです。花と花の仲人をしながら、ハチミツや花粉を貰ってきます。巣を冷やす水を運ぶものもいます。特にベテランの外勤蜂は仲間に花々のありかをダンスによって教えます。ちなみに、その一生で得る蜜はわずかスプーン一杯と言われています。

3. 巣内を34℃に保っています。

ミツバチは34℃に巣内の温度を保っています。幼虫を育てるためです。気温が高い(外気温30℃以上)と扇風活動をし、もっと高くなると水をもってきて巣内に散布します。逆に寒いとミツバチ同士が固まって熱を保ちます。筋肉活動をし代謝熱をもって巣を暖めます。何れにせよ室温が保たれていれば安心して働き蜂は外に仕事に出かけられます。交配用でもこの点が大きなポイントとなっています。

4. 臭いによって情報を伝達します。

フェロモンと呼ばれる臭いで情報を伝達します。警報・集合・統制・様々な場面で臭いによって合図します。ですから、とても臭いに敏感なのです。人間の数千倍の嗅覚があると言われています。ハウス内で使用する場合には、殺虫成分は当然として、その臭いにも注意が必要となります。

5. 紫外線が見えます。

1.赤い色は見えません
2.青色は見えます
3.橙、黄、緑は区別できずに黄色に見えます
ですから紫外線カットフィルムなどはミツバチの視界を悪くしまう恐れがあります。

6. ミツバチに刺される前に

1.肌の露出をしない
2.黒い服装は避ける
3.帽子をかぶる
4.明るい原色の作業着
5.香水、整髪料の使用は避ける

7. ミツバチに刺されたら

ミツバチの針
1.ミツバチに刺されると、針と同時に毒腺と筋肉がついてきます。
2.ミツバチが離れても針が残っている限り毒を送り続けます。
3.警報フェロモンを発し、仲間を呼び寄せます。
刺されたら
1.すぐに針を抜いて下さい(手でこするだけでも、針は抜けます)。
2.冷たい水で洗い流して下さい。
3.医師の診察をお勧めします。
アナフィラキシー
1.アレルギー反応のうちで特に症状の激しいもの。
2.人によって症状は異なりますが、じんましんなどの皮膚症状、呼吸困難、めまい、意識障害等を伴う事があります。
3.命を脅かす可能性もあります。日本ではハチ類によって毎年30人近い人が死亡しています。

※万が一に備え医師とご相談の上、エピネフリン自己注射キットの携帯をお勧めします。

交配用みつばちの取扱い

到着したら

ミツバチが到着したら、日中はなるべく暗く涼しいところに保管して下さい。
日中到着してすぐ出入り口を開けると、興奮したミツバチがあわてて飛び出し巣箱に帰れなくなります。

設置方法

準備
  1. 農薬・殺菌剤の影響日数が十分に過ぎているか確認します。
  2. 農薬・殺菌剤のビンや袋などが圃場内にあれば臭いの原因となるので片づけます。
  3. 余ったビニールは切り取る(入り込む場所には黒マルチで塞ぐ)

※ 施設栽培などミツバチが慣れにくい環境ではビーセントの処方をお勧めします。

設置場所

下図のとおりです。
※ 設置A・Cでは外にもエサを取りにいけるので、ストレスの減少、群勢維持につながります。
どれどれの設置場所

設置方法

台などに載せて設置します。
※アリが集る場合は、台の足に油(グリス)や石けん水などを塗ると効果的です。

設置方向

巣箱の出入り口は、東か南に向くように設置します。
※ 太陽の昇る方向に向けることで交配時間を長くとれるようになります。

設置時刻
  1. 到着日に、ハチが静まったら夜間から早朝の暗いうちに。
  2. 巣箱の前後の網窓を完全に閉めてから出入り口を開けます。

※ 日中に出入り口を開けると、ミツバチは出たまま巣に帰れなくなります。

設置後

巣門の前やハウス・トンネルの端に死骸が増えますが、問題はありません。
※「どれどれ」ではその点を見越し多めにミツバチを入れています。
※ミツバチが安定して交配するまでには1~2週間くらいはかかる場合があります。

保温
  1. 圃場が寒い場合、巣箱を温めるとミツバチの出巣率は高まります。
  2. 「どれどれ」はUSPC巣箱なので、保温・断熱効果を高めてあります。
  3. 厳寒期では毛布などを「どれどれ」に被せ、ミツバチの保温を助けてあげると効果的です。

※ 暖めてあげることは、女王の産卵を促します。

給餌

エサ
  1. <推奨>どれどれのエサ・・・4リットル ビタミン含有
  2. <推奨>ハニーシラップ、ハニーフラクト・・・24kg お徳用
  3. 砂糖水・・・200g温水でよく混ぜてください。砂糖の混ぜ方が足りない場合、結晶化してミツバチが食べづらくなります。
エサの与え方(目安)
【ぶんぶんの場合】
  1. 底の浅い容器にエサを入れます。
  2. 溺れないように脱脂綿や割り箸など浮かべます。
  3. 巣箱の近くに設置します。
【どれどれの場合】
  1. 設置1週間後に1回、その後11~2月は2週間、3~10月では1週間に1回の目安で与えます。
  2. 一回の給餌量は150~200㏄にして下さい。
  3. 上ブタを開け、ペット樹脂の透明天板の「エサ」部にエサを流すと、下の給餌器に溜まります。

※ 到着時の「どれどれ」の重さを量り、その重量を目安とすることも有効です。
※ 「どれどれ」の上フタを開け、ハチ量を確認しながら調整して下さい。

エサの与え方の注意点
  1. エサの与えすぎは産卵スペースを埋め、ハチ数を減少させるのでご注意下さい。
  2. 砂糖水では、巣内で結晶化しミツバチが食べられず、餓死する場合があります。

環境

水 
  1. 圃場温度が30℃を超える場合、ミツバチは巣内を水で冷やそうとします。
  2. お皿などに水をいれ、止まり木を浮かべたり、脱脂綿を浸します。
  3. 自然の水をあげて下さい。水道水ではカルキの臭いから寄り付きません。
  4. 頻繁に水は代えて下さい。(農薬処方時には外に出して下さい)
農薬・殺菌剤の散布
  1. 農薬・殺菌剤の散布時には、「どれどれ」を必ず圃場の外へ出して下さい。
  2. 2~3日・・・巣門を閉め両窓は開けて、土間など寒暖の少ない室内で暗くして保管します。
  3. 長期・・・ 圃場内同様に両窓は閉め巣門は開放して、圃場と離れた場所で管理をします。
  4. 「どれどれ」はUSPCなので、野外で管理しても全く問題はありません。
  5. 厳寒期では冷たい外気によって幼虫がショック死する場合もあるので、保温を心がけて下さい。

※ 農薬はハーモメイトなどなるべくミツバチに影響の少ないものをお願い致します。

移動
  1. 夜に、巣門を閉め、両窓(厳寒期では巣門側のみ)を開けて移動します。
  2. ミツバチが巣門に群がっている場合は、煙や霧吹きをあて巣箱内へと促します。
  3. 圃場への戻し方は、設置と同様です。ハチが迷うので必ず元の場所に戻して下さい。

※ 農薬処理後ミツバチが出てこない場合は1週間ほど外で管理し出癖をつけます。
※ その間に圃場内では換気し「ビーセント」で環境改善を行ってください。

持続のポイント(働きバチを減らさない)

  1. 女王蜂は働き蜂の頭数に合わせて産卵するので働き蜂が少ないと次世代の働き蜂も減少します。
  2. 巣の温度を保つのは働き蜂の役目です。巣の温度が下がると幼虫は羽化できません。
  3. 卵・幼虫を育てるのも働き蜂の仕事です。働き蜂が少ないと子供の世話ができなくなります。

※ 群の維持は「働き蜂」を失わないことです。導入時から働き蜂を大切に扱って下さい。

交配用みつばちの注意

ミツバチの活動温度

ミツバチは外気温が18℃~30℃ぐらいがいちばん活発に訪花します。但し、太陽の光がある時間帯のみで、夜間は訪花しません。また、薄暗い曇天では、活動が鈍くなります。
ミツバチは、巣箱の中を34℃に保温して生活をしています。そのため、保温性断熱性の高い巣箱が必要になります。しかし、輸送時には、換気口やアミ窓を開けてあります。出入り口を開ける時は、換気口やアミ窓は閉めて下さい。

ミツバチと紫外線

ミツバチが夜飛べないのは、太陽の紫外線をたよりに訪花するからです。そのため誤って、紫外線カットフィルムなどを使用した場合、活動範囲が狭まったり、巣箱からでないこともありますので、充分注意して下さい。

ミツバチの使用後

作物の交配終了後巣箱を放置すると、人に危害を加える恐れと、ミツバチの伝染病を招くことになります。速やかに巣箱を処分して下さい。また、ミツバチを継続的に飼育する場合は飼育の届出と家畜保健所の検査が必要です。

四季による注意点

ミツバチの生理的にもいちばん活発な季節といえます。女王蜂の産卵も促され、幼虫の成長や増殖が盛んになり、ハウス内に設置した箱には餌が不足がちになりますので、給餌は必要不可欠となります。また、朝晩外気温が下がると訪花を始める時刻が遅くなりますので、朝日が早朝から当たる方向に巣箱の出入り口を東又は南に向けて下さい。巣箱の位置はハウスの中央よりが望ましいです。
35℃にもなる暑さはミツバチにとっても過酷です。出入り口を開けるまで暗く涼しい場所に保管して下さい。ハウス内設置後はなるべく換気をし、高温にならないようにします。また、巣箱に直射日光が当たらないように日陰を作ってください。換気のために開けたハウスの天窓よりミツバチが出ますが、必ず同じ道で帰ってくる訳ではありませんので、ハウスのサイドカーテンは開けておく必要があります。
春に次いで活発に活動する時期でもあり、餌の補充を確実に行って下さい。ミツバチが夕刻までハウスの外に出ている場合は、大部分帰ってきたことを見てビニールを閉めて下さい。
ハウス内は明るい日差しと適度な温度のため、日中はよく訪花をします。また、温度変化の少ない環境(5℃~30℃以内)を整えられれば、ミツバチの寿命を延ばすことができます。しかしこの時期は、生まれる蜂よりも、寿命が尽きる蜂のほうが多い為、ミツバチ数が減っていきます。それに気づかず餌を続けるとかえって悪影響になりますので、餌は控えめにして下さい。

 

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